福岡・静岡の特許事務所 TANAKA Law & Technologyの弁理士ブログ

福岡・静岡の特許事務所 TANAKA Law & Technologyのブログ。強い権利でアイデアを守るための実践的なノウハウを弁理士 田中智雄が解説。お問い合わせはWebフォームから24時間受付中。

「エロ猫大和」はアウトかセーフか?あの炎上シーンの裏側にある、知財実務の「白と黒」

最近、YouTubeのビジネスリアリティ番組『REAL VALUE』を観ていて、思わず画面に釘付けになってしまったシーンがあります。 志願者のとある弁理士に対し、応援ゲストの楽しんごさんが着ていた「エロ猫大和」のタンクトップを指して、投資家(マフィア)陣か…

PayPalの手数料が高すぎるのでSquareとStripeへ移行します

最近、海外送金の手続きが年々厳しくなっていて、これは日本国内だけの話ではなく、世界的な潮流のようです。 なかでも、インドの厳しさはなかなかのものです。 非居住者証明(TRC:Tax Residency Certificate)を毎年提出させられるのは、もはや恒例行事。…

「これは無理かもしれない」からどう藻掻くか。ある意匠登録の合格通知にホッと胸をなでおろした話

弁理士の仕事をしていると、日々さまざまな「知財の壁」にぶつかります。 今日は、先日オフィスに届いたある「登録査定(合格通知)」をきっかけに、特許と意匠の違い、そして私たち弁理士の舞台裏での“藻掻き(もがき)”について、少しお話しします。 特許…

商標拒絶理由通知の理不尽:なぜ出願人が「他人のゴミ屋敷」の掃除代55,000円を払わなければならないのか

新しくサービスやプロダクトを立ち上げるとき、誰もが頭を悩ませるのが「ネーミング」です。 しかし、いざ「これだ!」という名前を思いついて出願しても、特許庁から届く「拒絶理由通知」に絶望させられるわけです。 「すでに同じような商標が登録されてい…

1つの発明に10の代替案、私は「発明の理解」より「代替技術の発掘」に時間をかけます

「素晴らしい発明ができたので、すぐに特許を出願したい」 開発者や経営者の方から、このように熱のこもったご相談をいただく瞬間は、いつも胸が躍ります。しかし同時に、弁理士である私はあるプロとしての「冷徹な視点」を持ってその発明に向き合います。 …

AIには真似できない「類似」を覆す職人技

商標出願における、定番中の定番である拒絶理由。それが「他人の商標と類似している」という通知です。 これに対抗するための武器は、大きく分けて2つ。 「不使用取消審判」を仕掛ける(伝家の宝刀) 「非類似の主張」で押し通す(正面突破) 相手が商標を3…

商標が5日で登録できる国があった

外国の代理人とやり取りをしていて、面白い情報にたどり着きました。 「1週間で商標が登録できる国がある」というのです。 その国の名前は「アンドラ」。正直、聞いたことありません。調べてみると、フランスとスペインの国境に挟まれた小さな公国でした。出…

税関で止まった貨物に対して権利者が「輸入同意書」を発行する“大人の事情”

海外から商品を仕入れるインポーター(輸入者)にとって、税関でトラブルになった際の「一発逆転の救世主」とも言えるのが「輸入同意書」です。税関で「模倣品の疑いがある」と荷物を差し止められてしまった場合、この書類があれば一気に解決へと向かいます…

白い錠剤をどう見分ける?税関が水際で特許侵害品を即座に見破る「裏側のカラクリ」

「特許権の侵害」と聞くと、「何やら小難しそう」「裁判所で何年もかけてドロ沼の争いをする」といった印象を持っていると思います。 事実、その通りで、裁判所では、特許の文章を細かくパーツ(構成要件)に分解し、相手の製品がそれをすべて満たしているか…

海外の模倣品調査をしたら、報告書が偽物だったという笑えない話し

日本国内ならまだしも、海外(特に中国など)から流入する模倣品のルートを突き止めるのは、個人や一企業ではほぼ不可能です。「現地の弁護士や調査会社に依頼しよう」と思っても、現実はひどいものです。 実際にあった話ですが、中国の模倣品ルートを調べよ…

「明らかに偽物」なのに税関をすり抜ける理由。輸入差止めの命運を握る「識別ポイント」の罠

自身のブランドや製品を守るため、多くの企業が活用している税関の「輸入差止申立」。一度受理されれば、全国の税関が模倣品(コピー商品)を水際で監視してくれる非常に心強い制度です。 しかし、せっかく申立てをしたのに、「明らかに偽物なのに、税関をス…

法定期限当日の無茶振り!?海外代理人との冷や汗ものの攻防

金曜日の午後3時過ぎ。海外の代理人から、日本への特許出願の依頼メールが舞い込みました。 送り主はインドの代理人。これまでにも何度か取引があるのですが、実は過去にも期限ギリギリで依頼をしてきた前歴がある要注意人物です。 少し嫌な予感がしてメール…

ベトナム宛てのメールが、なぜロシアで迷子になるのか?

日々の業務では、世界各国の現地代理人とひっきりなしにメールが飛び交っています。時差や言語の壁は日常茶飯事ですが、先日、ちょっと背筋が寒くなるような「モヤモヤ」する出来事がありました。 ベトナムの現地代理人宛てに、意匠登録出願に関するメールを…

海外代理人からの「キックバック要求」と、日本の弁理士業界の現状

先日、ある海外の代理人から日本での商標登録出願に関する問い合わせがありました。 当事務所の料金表に基づき、出願から登録までの見積もりと手続きの要件を丁寧に案内したところ、折り返し届いたメールには耳を疑うような提案が書かれていました。 その内…

「安いニッポン」は特許業界にも?海外からの過剰なディスカウント要求に思うこと

最近、街を歩けば本当に多くの外国人観光客を目にするようになりました。インバウンド盛況の最大の理由の一つは、間違いなく「日本が安くなったから」でしょう。 かつて空前の円高だった時代、あの頃の日本人は、「国内旅行よりも海外旅行の方が安いから」と…

「即レス」こそが世界基準のトップセールス

海外の優秀な代理人を新しく発掘するのは、私のちょっとした趣味のようなものです(笑)。 というのは冗談ですが、初めて取引をする海外代理人を一体どのような基準で選んでいるのかと聞かれれば、答えは極めてシンプルです。 それは「即レスしてくれる事務…

懲戒処分「権利停止」の意外な実態。懲戒請求制度は本当に意味があるのか?

弁理士に対する「懲戒請求」の話題を目にする機会が時折あります。 一般の人、そして我々同業者であっても、懲戒制度の専門家なんていう人はいません。なんとなくヤバそうな制度というくらいの認識です。なので、「懲戒処分」と聞けば、「弁理士として特許庁…

特許庁の「算数ミス」で出願人が費用負担!?フィリピン意匠審査での理不尽な体験

特許や商標の国際出願の実務において、各国の特許庁(審査官)から拒絶理由通知や方式指令を受けることは日常茶飯事です。 その指摘が法的な解釈の違いや先行技術に基づくものであれば、代理人としての腕の見せ所でもあります。しかし、今回フィリピンの知的…

特許事務所の外国送金が年々大変になっていく話

特許事務所にとって外国送金は切っても切れない日常業務。 できることならサッと済ませたい手続きなのに、最近の規制の厳しさといったら、「マネーロンダリング対策」というより「円の海外流出を防ぎたいだけでは?」と疑いたくなるレベルです。 うちは月末…

期限前日の案件がインドから依頼されたことは喜ぶべきこと

外国案件の割合でインドが中国を抜いてトップになって、もう数年が経ちます。中国との取引が始まった当初は、欧米流のプロトコルに慣れていたこともあり、多少の違和感を覚えたものでした。しかし、その中国をはるかに上回るのが、インド代理人の破天荒さで…

AIと弁理士業務――研修を聴講して感じたこと

弁理士業務とAIをテーマにした研修を聴講してきました。AIの使い方を教わるというより、弁理士業務にどの程度AIが寄与できるのかを知りたい、というのが私の目的でした。普段は同業者と接する機会が少ないので、他の弁理士がどのようにAIを活用しているのか…

意匠の類否判断に欠かせないゲシュタルト論法

デッドコピーではない2つの意匠が似ていると思うのは、そこにゲシュタルトの心理があるからだと思います。 個々の形態は相違しているのに何となく似ていると思うのは、人が個々ではなく「まとまり」を知覚してそれが類似感覚に影響しているからだと思います…

国際手続きは原語を併記して欲しい

願書に出願人、発明者の情報を記載するときは、必ず原語を併記しています。 あの中国でさえ、漢字の他に英文を併記しているくらいなので、願書に英語を併記するのは、デファクトだと思っているわけですけど、21世紀に入ってもう26年も過ぎた現在でも、日…

化学系弁理士が「comprising」に人一倍敏感な、納得の理由

特許実務の世界に足を踏み入れて最初に学ぶことは「オープン形式(comprising / 含む)」と「クローズ形式(consisting of / からなる)」の使い分けです。 「権利を広く取るならcomprising一択!」 これは実務の鉄則ですが、こと化学系の発明において、この…

あるはずの出願がない!事務所の出願ミス!!かなり焦りました

事務管理上、出願審査請求期限のお知らせを出願人にするのですけど、これも虫の知らせというのでしょうか、普段はやらない、公開公報を見てみるということをやりました. 当然、公開公報がヒットするわけですけど、それがヒットしません. 出願番号を改めて確…

「パクった」と言われないための『善意の実施者』

特許侵害の警告書を受け取ったとき、「まったく知らなかった」「悪意はなかった」と訴えます.こうした「悪気のない人」を過度な責任から守る仕組みが用意されています. 1. 民法が示す「善意の人」への配慮 民法には、物を「自分のものだ」と信じて使っている…

発明者の公開は個人情報保護の時代に反する

発明者を記載したくないという外国代理人からの出願指示がきた. 実務のプロだから発明者を願書に記載しなければいけないことは知っているはず. そんなプロから、そのような指示がきたということは、発明者情報を開示しなくても出願できる国があるのかもしれ…

裁判所は真実を発見するところではない

トラブルは当事者が話し合って解決する. 解決できなかったときは裁判所で解決する. だいたいの契約書に登場する常套句. 最後の砦となる司法解決に期待し過ぎていないだろうか. 裁判を経験したことがある人なら思い当たるところがあるだろう. それは原告の負…

トラブルに昇華させてしまうのが弁護士

えっ、こんなことで弁護士をつけるの? ということがあった. それこそ電話の一本で解決するのに、なぜわざわざ複雑な解決方法を選ぶのだろうか. 弁護士が身近になったとはいえ弁護士をつけるべきではない. 裁判にもならないような日常の揉め事. 菓子折りで解…

実務研修で実務は身につかない

コロナ渦のおかげで東京まで行かなくてもオンラインで研修を受けることができるようになったのはいいのだが、研修を受けたことによりクオリティが上がっているのだろうか. 研修があることはいいことだし、リアルではなくオンラインで受講できることも悪くな…