福岡・静岡の特許事務所 TANAKA Law & Technologyの弁理士ブログ

福岡・静岡の特許事務所 TANAKA Law & Technologyのブログ。強い権利でアイデアを守るための実践的なノウハウを弁理士 田中智雄が解説。お問い合わせはWebフォームから24時間受付中。

国際手続きは原語を併記して欲しい

願書に出願人、発明者の情報を記載するときは、必ず原語を併記しています。

あの中国でさえ、漢字の他に英文を併記しているくらいなので、願書に英語を併記するのは、デファクトだと思っているわけですけど、21世紀に入ってもう26年も過ぎた現在でも、日本特許庁は原語を単なる参考情報としか扱ってくれません。

特許庁へ提出する書類の全てに原語を併記していても、最後に発行される登録証には原語がなく、そして登録原簿にも原語の記載がありません。

これで何が問題かというと、昨今の翻訳ツールが充実したおかけで、クライアントが翻訳を試みてしまい、その結果、カタカナに翻訳された出願人/権利者情報と一致せず、余計な詮索をされてしまうわけです。

英日翻訳されたものを、今度は日英翻訳しても、それが一致しないことは日本人であれば当然だよと思うことでも、外国代理人からすると、それは翻訳ミスではないのかと勘ぐるわけです。

せっかく、苦労して特許証発行まで辿り着いたのに、最後に、翻訳ミスじゃないの?というようなクレームを頂いてしまうことはとても残念なわけです。

 

そして、実務的な問題としてもう1つ。

権利譲渡のときの譲渡証を英文で作るわけですけど、原簿には権利者の住所も名前もカタカナでし記載されておらず、それを元に英語表記の譲渡証を作るのは結構大変なのです。

現地代理人に提供した譲渡証の権利者情報が間違っていると、それだけで信用を無くしてしまいます。

本当は、現地代理人から権利者情報を提供してもらえばいいのでけど、例えば10年も前に登録されていると、権利者も転居していて、そもそも登録時の住所を正確に覚えていないというケースもあって、さらに現地代理人も出願代理人ではないことがほとんどなので、唯一の情報は日本特許庁の原簿だけということが少なくありません。

 

特許庁側も不便だろうと思うのは、出願代理人がすでに登録を抹消している場合に、取消審判や無効審判が起きた場合に、どうやって審判請求書を現地に送付しているのかということです。

特許庁内においてカタカナでしか記録されていない権利者に対して、どうやって正確な送付先情報を生成しているのだろうかと毎回不思議に思っています。

英語圏の国だったらなんとかなるとしても、非英語圏の国に審判請求書を送った場合に、本当に到達しているのかと心配になります。

現に、相手方に送達できないケースを経験しているので、少なくない数の審判請求書の副本が現地に届かないケースがあるはずです。

特許庁は日本の行政のなかで、もっとも国際手続きが多いはずなのに、なぜ頑なに原語併記をしないのか不思議に思います。