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意匠の類否判断に欠かせないゲシュタルト論法

デッドコピーではない2つの意匠が似ていると思うのは、そこにゲシュタルトの心理があるからだと思います。

個々の形態は相違しているのに何となく似ていると思うのは、人が個々ではなく「まとまり」を知覚してそれが類似感覚に影響しているからだと思います。

そんな人の感覚に反して、特許庁や裁判所の類否判断は、意匠を構成態様に分けて、各構成態様の共通点と相違点を認定し、相違点が美感に与える影響を論じるという、人の心理とは逆の判断をしています。

 

特許もそうですが、発明や意匠を構成要素に分けるやり方は、「まとまり」を評価するには相応しくありません。発明も意匠も1つの纏まりが思想であり美感であるわけで、それをバラバラにして個々の要素について対比したところで、思想や美感の対比にはなりません。音楽評論をするときに、個々の音符の違いを論じる人なんていません。メロディーという1つの纏まりが対象であるわけです。それでも、特許庁も裁判所もそのような手法で発明や意匠を判断しているので、自分だけ違う土俵に上がるわけにはいきません。

 

そんなことを思いながらも、対比する2つの意匠の相違点をどうやって処理して、類似または非類似にもっていくわけですが、実は非類似を主張する方が圧倒的に簡単です。構成要素に分けて相違点をいくつも並べていけば、もうそれで十分です。

 

問題は相違点があるにもかかわらず、2つの意匠が類似であるという結論をどうやって導いていくか、そこに登場するのがゲシュタルト論法です。

ゲシュタルトの法則は、人が無意識に「まとまり」をつくろうとするルールで、例えば、近くにあるもの同士をグループだと認識する近接の法則、形や色が似ているもの同士をフループだと認識する類同の法則、欠けている部分があっても、脳が補完して1つの形態として認識する閉合の法則、つながっているものは1つの流れとして認識する連続の法則といった知覚の特性であり、このような知覚特性の存在を理由に相違点がある2つの意匠の類似を主張していきます。

 

類似判断をしている判決も審決も、相違点がある2つの対象同士が、なぜ似ているのかということを論理的に判断しているものはありません。判決や審決を読んでいても、「相違点があっても美感に影響を与える程度のものではない」としているだけで、なぜ美感に影響を与えないのかということを論じていないのです。

それってあなたの感想ですよね?と突っ込みたくなります。