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AIと弁理士業務――研修を聴講して感じたこと

弁理士業務とAIをテーマにした研修を聴講してきました。AIの使い方を教わるというより、弁理士業務にどの程度AIが寄与できるのかを知りたい、というのが私の目的でした。普段は同業者と接する機会が少ないので、他の弁理士がどのようにAIを活用しているのかについても、純粋に興味がありました。

 

会場では、ローカルLLMの構築方法を熱く解説する猛者も現れました。さすが理系資格の弁理士、という感じです。ただ、現時点ではローカル環境でのAIエンジンはまだパワー不足で、実務への本格投入にはもう少し時間がかかりそうです。

 

AIの「クセ」を比較したセッションが特に興味深く、自分が日頃から感じていたことと、ほぼ重なっていました。ChatGPT、Gemini、Claudeの三者比較では、調査はChatGPT、分析はGemini、文章作成はClaudeというのが、参加者のおおよその共通認識として浮かび上がりました。

なお、Copilotが比較対象に上がらなかったのは、この三者と比べて突出した強みが見えにくいからかもしれません。

 

複数のAIに同じプロンプトを与えて明細書を書き比べた実演も紹介されました。率直な印象は、特許事務所に入ったばかりの新人レベルといったところ。職業代理人の水準には届いていません。

とはいえ、外国出願の中にもそれと同程度のものは見受けられるのが実態で、今後はAIが書いた明細書による出願も増えていくのではないかと感じています。もっとも、守秘義務を抱えるプロの代理人が、クライアントの出願明細書をそのままAIに投げることは、まずないでしょう。

 

弁理士業務はこれまでも、ITの進歩に支えられてきました。タイプライターがワープロに、FAXがメールに、翻訳が翻訳ソフトに置き換わってきた歴史があります。ただ、今回のAIには、それらとは少し異なる側面があると感じています。

私たちの時代は、「明細書を1,000件書いて一人前」と言われていました。それだけで約10年。その過程にある調査や分析という地道な作業こそが、弁理士としての血肉になっていたはずです。

その作業をAIが担うようになったとき、若い弁理士はどうやって成長するのか。

老婆心と言われるかもしれませんが、これは業界全体の問題として向き合う必要があるように思います。ベテランにとってAIが作業を肩代わりしてくれることのメリットは計り知れない。しかし、複数のAIに同じ作業をさせていいとこ取りをする環境が広がれば、その恩恵を受けるベテランと、経験を積めない若手との差は開くばかりです。

 

ここ数週間、外内案件のアクション対応にAIをフル活用しています。OAの分析、現地代理人への報告、意見補正案の検討――こうした一連の作業を回していると、一人事務所こそがAIの恩恵を最も享受できる立場ではないかと、しみじみ実感しています。

部下もなく、チームもない。でも、AIという「複数の優秀なアシスタント」が常に傍らにいる。そう考えると、一人弁理士の働き方は、AIによって根本から変わりつつあるのかもしれません。