金曜日の午後3時過ぎ。海外の代理人から、日本への特許出願の依頼メールが舞い込みました。
送り主はインドの代理人。これまでにも何度か取引があるのですが、実は過去にも期限ギリギリで依頼をしてきた前歴がある要注意人物です。
少し嫌な予感がしてメールに目を通すと、通常なら必ず記載されているはずの「法定期限」がどこにも見当たりません。書かれているのは国際出願番号だけ。
週末の午後ということもあり、「後でチェックしようかな」とも思いましたが、どうにも嫌な予感が拭えません。念のためWIPOのデータベースにアクセスし、自ら期限を確認してみました。
すると、なんと期限は本日。
こんな時限爆弾のような案件を、期限の明記も緊急性の記載もなしにしれっと送ってくる神経には、本当に驚かされます。
メールには「費用見積もりが欲しい」とあったため、急いで見積もりを作成して返信しました。しかし、午後6時になっても一切の指示が来ません。
ここで一番恐ろしいのは、「日本の代理人の責任で期限を徒過した(落とした)」と責任転嫁されることです。それだけは絶対に避けなければなりません。
そこで、日本時間の午後7時までに正式な出願指示がなかった場合、当方は一切の責任を負わない(免責される)旨を確認するメールを急いで打ちました。
午後7時を過ぎても、案の定連絡はありません。
通常であれば、ここで私の責任は完全に解放されます。しかし、相手は「こちらの忠告を無視して、デッドラインを過ぎてから平気で指示を出してくる」という前科持ちです。
案の定、午後9時頃になってから「クライアントからまだ返事がない」とだけ連絡が入りました。結局その日は、いつ来るか分からない出願指示に備え、日付が変わる深夜まで待機する羽目になったのです。
結局、その後は何のメールも来ないまま、法定期限は無情にも過ぎ去りました。
せめて週明けに、お詫びや状況説明のメールくらい寄こせばいいものを、見事なまでに無反応です。「こんな危なっかしい仕事をしていて、よく大きな事故にならないな」と、こちらが心配してしまうレベルです。
インドの代理人のビジネスモデルとしてよく見られるのが、「米国出願人などの外国案件を安い手数料で大量に集め、各国への外国出願をハブとして手配する」というやり方です。今回も、大元の出願人は米国でした。
米国出願人から依頼を受けたのは一体いつだったのか?
なぜ、法定期限の当日になってから日本に指示を出したのか?
理解に苦しむ点は多々ありますが、日本の弁理士の感覚では到底考えられないような無謀な采配を振るうのが、一部の海外代理人の実態でもあります。
国際的な知財実務においては、単に出願手続きを行うだけでなく、相手のルーズなペースに巻き込まれず、自らの身と責任をしっかりと守る防衛力が不可欠だと改めて痛感した週末でした。